クラシック車両の歴史
ロンドンの顔で親しまれた
ロンドンバス(ルートマスター)の歴史
「ロンドンの顔」として、市民から愛され続けてきたルートマスターバス。その歴史は長く、1950年代にさかのぼります。
その当時、ロンドンの街で走行していたトロリーバスに代わるバスを!ということで開発されたのが、このバスのはじまり。
第二次世界大戦中にハリファックス爆撃機の製造に参加したロンドン交通局が、そこで取得した新しい技術と軽量のアルミをバス開発に導入。従来の56席という座席数を64席へ、車幅は2.28メートルから2.43メートルに拡大することにも成功したことで、軽くてしかもより多くの乗客を運ぶことのできるルートマスターバスが誕生したのです。
本格的な生産が始まる前には、4台の試作車が作られました。RM1とRM2にはアソシエイティッド・エクイップメント社(Associated Equipment Company)のエンジンとパーク・ロイヤル社(Park Royal)のボディを使用。続いてRM3とRMC(4台目の試作車)にはレイランド社(Layland)のエンジンが使用されたそうです。
ルートマスターはデザインにもこだわりました。当時のロンドン交通局・メカニカル・エンジニア部門チーフであったBill Durrant指揮のもと、工業デザイナーであったDouglass Scott氏が外部の優秀な人材を起用してデザイン。フロントエンドのデザインをはじめ、ボディスタイリング、そしてタータン柄の座席シートなど、すべてのデザインが彼らの手によってアイコニック的ものとして生み出されたのです。
これらの試作車にさまざまなテストと改良が施され、ロンドンの街にルートマスターが初お目見えしたのが1956年。またたく間に、ロンドンの愛すべき存在になり、観光の目玉にもなりました。そして1980年代には英国各地でもルートマスターが導入されるまでになり、1968年までに2,760台のルートマスターが製造されたそうです。